扶桑型二番艦 山城(艦隊これくしょん 二次創作)

 そう言って微笑んだ私を、姉様は信じられないものを見るような目で見た。姉様の気持ちが提督にしかないことは、分かっていた。それでも、私は姉様が欲しかった。
 でも、気持ちを手に入れることはできなかった。それならば、一緒に沈む道を選ぶ。このまま一緒に沈めば、もう二度と、提督の元に姉様は帰れない。
「暗く冷たい海の底でも、姉様と手を繋ぎあっていられるのなら、幸せよ」微笑む私に、姉様は泣き叫ぶ。
「やめて山城。あなただけならまだ帰還できるのよ」そう言って私の手を解こうともがく可愛い姉様。
「私だけ生き残って、姉様のいない世界で、どうやって生きていけというの?私はこのまま姉様と沈みたいわ」
 そう言っている間にも、私たちに降り注ぐ雷撃は止まない。船体に海水が入り、少しずつ重たくなっていく。私と姉様の船体が、ゆっくりと海の底へ沈んでいく。私は、そっと目を閉じた。幸せだった。


 目が覚めた私たちは、ドッグにいた。あの時、姉様と一緒に海に沈んだはずなのに。
「お前たちはこれから、提督と共に『敵』を倒すのだ」呆然と立ち尽くす私たちに、無機質な声がそう告げた。